まずは、本文の製本。
私たちは作業が続いたこの数ヶ月、「本文の製本」という言葉を何度も使っておりましたが、
一体何をしてるときを指す言葉なの?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は、印刷会社を利用する際「本」として印刷をしませんでした。
すべてのページを、個別に発注したのです。
刷り上ったものは両面印刷されたフルカラーの束。
つまり……
本文はお見せできないのでボンヤリで失礼します…!
こんなふうに広げて、流れ作業で順番に並べていくのです。
何度も中身の確認をしたあと、背表紙と接着する部分を樹脂で固めて、一冊の形にしていきます。
これが「中身の製本」です。
鏡音ようび!、ボーマスで搬入した分は、このあたりからヨネコとひよこが手伝いにきてくれました!
みんなしてせっせと田植えスタイルで並べてましたが、次第に腰が痛くなるという…
あと、本文に触るときは指紋がつかないように手袋をはめてます。
そのため長時間作業してると、摩擦熱で指のところから手袋が溶ける事例が発生。
こうゆう具合に。
最初はびっくりしましたが、冬コミ搬入分はよりスムーズに進んだためもっと大きい穴空きました笑
勝手や順番なども頭に入っているだけで、体の動き方は大分違いますね…!
こちらが、一冊ごとに組んだ山の一部です。
ジェンガ状に積んだものがズラズラ~とあちこちに並んでいるので、歩くのも恐る恐るでした…
しつこいまでに中身の確認をしてから、これの背表紙側を樹脂で束ねていきます。
ここで、前編で紹介した遊び紙の登場です。
あらかじめコの字に折り目つける際、ミリ単位でしたね。
それは、本文の厚みに合わせて折るためだったのです。
コの字に嵌まるように束ねた本文を接着し、↑の機械に挟みつつ、上からも抑えて圧着します。
下の黒いプレートみたいなところは100度以上になる部分。
塗布した接着剤を一旦ここで溶かしながら、より強く貼り付けるための工程です。
接着剤の乾燥と、熱が抜けきるまで1日おきます。
いよいよ、外側と内側の材料が揃いました!
左が、コの字に折った遊び紙で挟んだ本文。
右が、前編で作ったハードカバー。
ハードカバー側も、コの字で挟んだ本文が挟めるように台座部分を折ってあるので、
そこにぴったり乗るように貼り付けていきます。
この接着次第で本の開き方が決まるため、慎重に進めます…
からの、またもや圧着。
とりあえず力でくっつける場面が多いので、腕の力も鍛えられます、ほんと笑
乾くまではこんなかんじで自立させておきます。
まだ数が少ないうちはいいのですが、作業が終わる頃は部屋の中にこの群集ができるという…
なんとも不思議な光景です。
これで1日以上乾燥させます。
次は、遊び紙と見返しを固定する作業です。
短冊状に切った紙を「く」の字の形に折り、山側から隙間にギュッと詰め込むように貼り付けます。
この作業も最初は接着剤だったのですが、見栄えの関係で途中から両面テープに変更しています。
形になってきていますが、ここから仕上げです。
実際に読む状況を想定して、本を開きやすいように折癖をつけていきます。
根元より数ミリ高さのある場所から折れるようにしていく作業。
↑の写メで、本から飛び出している茶色の板には、本文がぴったり通る幅の穴が空いてます。
これを上からかぶせて根元までおろし、木の板に押し付けるようにして紙を引っ張りながら折っていきます。
写真集がお手元にある方の中には、なんで最初から折れてるんだろう?と、お気づきになった方も
いらっしゃるかもしれませんが、より気持ちよく読み進めていただくために施した一手間です。
いよいよ、最後の仕上げです!
タイトルロゴ、サークルロゴの金箔!
皮に写す前にやる作業が、ものすごく細かいです…
そりゃもう、写真集作業の中で断トツ。
文字やレリーフを浮き上がらせるために、余計な部分をカッターでカリカリと削り落とすのです。
この砂嵐のような金色の中から、必要な部分だけを浮き上がらせる…
本当に、途方もなく時間のかかった作業でした。
記事では時系列順に並べていますが、この金箔削りだけは時間がかかりすぎるので
前もって各自家に持ち帰り、少しずつ進めていってました。
でも、肉眼で見えるサイズにも限界があります。
最終的な仕上げは…
こちらを使ったりしていました!
顕微鏡のように覗き込むと、手元がものすごいアップになって見えます。
ただ、これだと金箔の粒子が確認できるくらい見えてしまって、逆に細かいところまで気になるという。
手首や、首、肩にくる作業でした…
ただ、私たちには表紙の写真というものがないので、これが表紙、顔なのです!
それを思って必死に金箔を削ってました。
削りを終わらせたものから、熱で金箔を転写していきます。
皮全部ではなくピンポイントにアイロンをあてたいため、まずはロゴサイズの鉄板の切り出しから始まりました。
その小さな部分に全体重をかけて、数十秒そのままで待ちます。
途中から重石を使ったりしましたけど最後の最後で、時間も体力も使う工程です。
あとは、ミニ写真集つくりです!
またもや中身はボカシいれております><
こちらも自分たちで中綴じ製本してあります。
紙の大きさに若干ばらつきがあったので、カッターで端を揃えるのも同時進行。
もしかしたらどこかでご覧頂いたことのある写真も載っているかもしれませんが、
バリエーションをお楽しみいただけるよう、様々な楽曲を収録してあります~(´w`*)
完成した写真集たちです。
皮についた余分な金箔を払い、お互いに金箔がつかないよう一枚ずつ紙を挟んで梱包します。
次にこれを見るのは、冬コミ当日になります。
9割以上の工程を機械ではなく、人の手…
しかも香月さん以外は本作り素人であるため、最初の手探り状態は自分たちでももどかしいくらいでした。
完成のビジョンは見えているのに、思っていた手順ではうまくいかなかったり。
途中で行き詰って、やり直して、また行き詰って、やっとうまくいくの繰り返しです。
何かを形にするということは、思いにダイレクトに触れるということ。
作る側が発信したことを、いかにまっすぐ受け取れるものにするか。
この外観で、そのほとんど決まると信じて作業してきました。
仕上がりに磨きをかける意味をこめて、意見もぶつけ合いました。
写真集を手にとって重みを感じたら、それは私たちの伝えたい気持ちなのだと思います。
多くを注ぎ込んで作った一冊、ぜひご自身の目でご覧ください。
以上、写真集ができるまで、です。
お楽しみいただけましたでしょうか!(*´w`)
長い記事にお付き合いくださってありがとうございました!
次の更新は、いよいよ冬コミについてのお知らせです!
一週間前には必ず記事を更新いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします~(≧w≦)